「地獄楽」の舞台は、彼岸・極楽浄土・常世の国などと呼ばれ、古くから信仰される神仙郷。
一切の苦しみがなく、豊かで喜びに満ちあふれているという島が発見されました。
島には不老不死の仙薬があると噂されており、将軍は探索隊を派遣しましたが生き残り戻ってきた者はごくわずか。
無事に生還した人間も花化してしまい、常人では仙薬を持ち帰ることは難しい状況でした。
そこで考えられたのが死罪人たちを島に送り込み、仙薬を持ち帰ることを条件に1名だけを無罪放免にすること。
主人公の画眉丸は、その条件をのみ仙薬探しの道を選ぶことになります。
今回は不老不死の仙薬とは何なのか?作る目的や実在するのかについて解説していきます。
「地獄楽」不老不死の仙薬とは?
不老不死の仙薬を求め島を探索する死罪人と死刑執行人たち、作中でも仙薬は本当にあるのか?といった疑問が上がります。
そんな不老不死の仙薬とはどのような薬なのでしょうか?
不老不死の薬
不老不死の仙薬は存在するとはじめに言ったのは、主人公の画眉丸。
その理由として岩隠れの里長は不死者だったといいます。
岩隠れの里長は刀で刺され内臓がこぼれ落ちても立ち所に治ったそうです。
昔、海の向こうの商人から買った不死の薬を飲んでいたらしいのです。
それを見ていた画眉丸は不老不死の仙薬“非時香実(トキジクノカグノミ)”は実在すると断言したのです。
木人(ほうこ)の証言
島の中核にある村に住む木人(ほうこ)の証言によると不老不死の仙薬は古からの言い伝えにより存在すると言います。
言い伝えによると仙薬は“丹(たん)”と呼ばれ、永遠の命の源の薬だといいます。
仙薬がある場所についてですが、島は3つの領域に分かれていて、島の外側に当たる海岸や森は「えいしゅう」。
そして、その内側にある木人が住む村は「ほうじょう」と呼ばれる領域にあります。
さらにその島の中心は「ほうらい」と言われ、その霧の奥に仙薬があるといいます。
木人は実際に実物を見たことはないが、自分も千年生きておりその恩恵の一部を受けていると自分の体を再生させていました。
そして仙薬を探し求めるのであれば“天仙様”に合うことになり、木人は彼らを知れば疑う余地もなくなると話すのでした。
天仙様は、死ぬこともなく老いず永遠に美しいといった完璧な仙人のようです。
しかも島の化け物とは格が違い、何者もかなわない神のような存在です。
「地獄楽」仙薬はまだ完成していない
物語の中盤では、仙薬はまだ完成していないことが判明します。
しかし終盤で仙薬は完成するのですが、その経緯について解説していきます。
物語の中盤では仙薬は研究中
探索を続けていた佐切たちは、天仙の一人ムーダンと遭遇。
木人が言っていた丹(たん)は仙薬ではなく、この島に不老不死の仙薬はないといいます。
丹は天仙には不可欠だが、普通の人間が飲んでも樹化するだけであり、木人や花人間は不死に近いが不老ではないと説明。
不老不死の仙薬を研究している仲間もいるが、まだ完成していないとのことでした。
それを聞いた佐切は仙薬がなければ、画眉丸は妻に会うことができなくなるためショックの色を隠せませんでした。
仙薬が完成
仙薬を完成させたのは、蓮(リエン)です。
蓮は一番最初に生み出された天仙で、天仙たちのリーダーになります。
不老不死の仙丹を作り出すため研究を続けてきました。
死罪人の一人、弔兵衛(ちょうべい)と戦い、彼が花化しても体や自我を保っていることに着目し弔兵衛を研究。
弔兵衛の稀有な氣(うねりのタオ)の一部を使い、不老不死の丹を作り出す“盤古(ばんこ)”を完成させるのでした。
“盤古(ばんこ)”は未完成
仙薬の材料になる丹(たん)は、花化した人間から氣を抽出するものです。
しかし、一人の人間から採取できるのは少量。
ですが盤古(ばんこ)ならば、一度に多くの丹を精製することができるのです。
ただ丹は保存が難しく、時間が経つと花の氣が人間の氣を侵食してしまい盤古もいずれ枯れてしまうといいます。
そこで弔兵衛(ちょうべい)の体の一部を使い人間の氣を侵食しにくい盤古を完成させました。
後は質が良くと量が多い人間の氣を用意するだけです。
そのために蓮(リエン)は盤古をより完璧な状態にするために“辟餌服生の斎(ヘキジフクショウのサイ)”という儀式を始めました。
“辟餌服生の斎(ヘキジフクショウのサイ)”とは?
“辟餌服生の斎”とは、上質な氣を火・土・金・水・木すべて揃え捧げる儀式のことです。
つまり現在、生き残っている死罪人と死刑執行人を捕らえて花化させ氣を抽出するのです。
仙薬の酒種が完成し、まずは島の上陸者で種を増やし海を渡って更に多く材料を集める計画でした。
生き残っている死罪人と死刑執行人は上質な氣を持っているため、儀式のお供え物となり盤古をより強力にするために行われます。
「地獄楽」蓮(リエン)が仙薬を作った目的
ここからは蓮(リエン)が仙薬作った目的について解説していきます。
蓮(リエン)が仙薬を作る目的
蓮(リエン)たち天仙は各自、不老不死に関する研究を進めています。
それでは蓮が不老不死の仙薬を作る目的は何なのでしょうか?
蓮の最終的な目的は“神獣「盤古」”を作ることです。
神獣「盤古」は超巨大化した盤古で、蓮の求める完璧な丹が精製されます。
蓮の計画は完成した丹の酒種を極楽蝶に仕込んで船に積み、日本で羽化させ飛散すること。
刺された人間は花化、そして外丹花(ワイタンファ)は連なり大きな一つになります。
これが“神獣「盤古」”です。
蓮(リエン)の本当の目的
蓮の最終的な目的は宗師の復活です。
宗師とは蓮たちの産みの親で、始皇帝から名を受け海に渡り仙薬を探し求めた人物。
宗師の魂を復元には、肉体の比ではないほどの高濃度の氣が必要になります。
そのため蓮は、倭国(日本)の人間をすべて丹にしようと目論んでいるのです。
つまり本土の全員の命を使い一人の人間、宗師を復活させようとしているのでした。
「地獄楽」不老不死の仙薬の効果
飲めば不老不死になると言われている仙薬ですが、体にどのような効果があるのでしょうか?
作中で仙薬を飲んだ人物は2名いますので、一人ずつ解説していきます。
殊現(しゅげん)
最初に仙薬を飲んだのは追加組の殊現(しゅげん)です。
殊現は仙薬にただならない妖気を感じ、毒味をしました。
口に含んだだけですぐ吐き出し、舌先に違和感は感じないため害はないと判断。
ですが後に目の色が変わり、激しい動悸に見舞われます。
切られた腕からも血が出ることもなく、致命傷を負っても痛みは薄く普段と変わらず動くことができるといいます。
しかし最後は、黄金に包まれた宗師を真っ二つに切断するのに氣を使いすぎてしまっため体が朽ち果ててしまい死亡してしまいました。
なので口に含んだだけでは、不老不死の体にはならないようですね。
岩隠れの長
岩隠れの里長は不死者とされていましたが、幕府に捕らえられ処刑されてました。
どうやら様々な噂は、やはり幻術によるものだったようです。
また、処刑の際に仙薬をひと舐めさせ首を刎ねたといいます。
すると胴体から根を張り、ツタを張りその場で草木のようになってしまいました。
そして意識はないのですが今もなお脈を打っているとのこと。
家老の間でも、果たしてこれを不死の薬と呼べるのか物議を醸していました。
完全な不老不死の仙薬は存在しない
仙薬を飲んだ二人を見ると、不老不死の仙薬は完全な薬ではなかったと考えられます。
結局の所、仙薬を飲んでも氣(タオ)を使い過ぎると死んでしまいますし、岩隠れの里長のように植物人間状態では人とは言えません。
もし、蓮が本土に渡り“神獣「盤古」”を完成させ、完璧な丹が精製されれば本当の不老不死の薬ができたかもしれません。
ですがそれは叶わなかったので、不老不死の仙薬は存在しないという結論に至るのではないでしょうか。
まとめ
今回は不老不死の仙薬とは何なのか?作る目的や実在するのかについて解説しました。
- 不老不死の仙薬とは古くから信仰される神仙郷にあるとされていた
- 物語の中盤では仙薬はまだ完成していないことが判明する
- 蓮は不老不死の丹を作り出す“盤古(ばんこ)”を完成させが“盤古”は未完成だった
- 蓮の本土の人間を使い完璧な丹が精製される“神獣「盤古」”を作る計画だった
- 蓮の最終的な目的は宗師を復活させることだった
- 結局不老不死の仙薬は存在しないという結論に至った
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